子宮脱

子宮脱

子宮脱とは

子宮脱とは

子宮脱は、子宮が正常な位置より下降した状態を指します。程度が軽い場合は子宮下垂、重症化して外陰部から子宮の一部または全部が脱出する場合を子宮脱と呼びます。子宮は、前方は膀胱、後方は直腸と接しているため、子宮が下降する際には、腟・膀胱・直腸などの臓器も一緒に下がることが多く、骨盤内臓脱や性器脱とも呼ばれます。

子宮脱の症状

子宮下垂の程度が軽い場合には無症状のことが多く、婦人科健診などで指摘されて初めて気付くことがあります。症状が進行すると、以下のような症状が現れます。

  • お腹に力がかかった時に何かが出てくる感じ(歩行時、重いものを持った時、入浴時、しゃがんでいる時など)
  • 外陰部にピンポン球くらいの丸くて固いものが触れる(子宮腟部)
  • 子宮が腟壁とともに周囲の臓器も下がり、裏返った状態になる
  • 膀胱や直腸だけが腟壁と一緒に下がる(膀胱瘤、直腸瘤)

脱出した部分が下着などに常に接触し、こすれることで、赤みや出血、おりもの増加、化膿などの症状が現れることもあります。また、排尿障害や排便障害の原因にもなります。

子宮脱の原因

子宮脱の主な原因は、骨盤底の障害です。骨盤底は、筋肉や器官、結合組織などで構成され、お腹や骨盤内の内臓を支えています。分娩や外科手術などにより骨盤底が損傷され、内臓を支えきれなくなることで子宮脱が発生します。
女性の約10%がこの症状を経験し、その95%は分娩経験者だと言われています。分娩時に児が骨盤内を通過する際に骨盤底が損傷されることが原因と考えられますが、分娩直後ではなく、閉経を迎える頃から多くなり、60歳代がピークとなります。

子宮脱の治療

子宮脱の治療は、症状の自覚があって初めておこなわれることが多いようです。

骨盤底の運動療法

軽度や中等度の内臓下垂に対して、規則正しい骨盤底筋の運動でよくなることがあります。

薬物療法

漢方薬や女性ホルモンなどがありますが、効果は明らかではありません。

ペッサリーの挿入

手術を望まない場合や、病気や高齢で手術ができない場合に、腟内にペッサリーを挿入し、内臓の脱出を防ぎます。最近のシリコン製リング状ペッサリーは、ソフトで出し入れ時の痛みがほとんどありません。定期的な管理が必要です。

骨盤底の修復術

基本的に手術が最も効果的ですが、再発することもあります。最近は、ポリプロピレンのメッシュを膣壁と臓器の間に入れ、丈夫な壁を作り補強する方法がおこなわれています。下がっていた部分を切除したり、緩んだ部分を縫い縮めたりするのとは異なる方法です。

子宮脱の症状には、早期発見・治療が大切

子宮脱の症状には、早期発見・治療が大切

子宮脱は、女性特有の症状であり、分娩経験者に多く見られます。症状が進行すると、日常生活に支障をきたすこともあるため、早めの治療が重要です。治療法には、骨盤底の運動療法、薬物療法、ペッサリーの挿入、骨盤底の修復術などがあります。子宮脱でお悩みの方は、お気軽に飯島病院にご相談ください。専門医が丁寧に診察し、患者さまお一人ひとりに合った治療法をご提案いたします。適切な治療をおこなうことで、症状の改善が期待できます。子宮脱を放置せず、早めに対処することが大切です。

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