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緊急避妊
緊急避妊法とは
緊急避妊法は、避妊せずにセックスをしてしまった場合やコンドームの破損・脱落、レイプ被害にあった場合などに緊急避難的に使う方法です。性交後72時間以内に薬を服用することで妊娠を避けることができ、この薬を「緊急避妊ピル」と呼びます。1997年にアメリカ合衆国政府が安全性と有効性を認め、使用を許可した方法です。ただし、緊急避妊ピルは望まない妊娠を回避するための一時的な避妊法であり、通常の避妊目的で常用すべきものではありません。
緊急避妊ピルの種類と使用法
緊急避妊ピルには主に2種類あります。これらの薬は産婦人科で日常的に治療に使用されるホルモン剤の一種ですが、緊急避妊法として使用する場合は保険適用外となり、自費診療になります。
プラノバール
性交後72時間以内に2錠を内服し、その12時間後に再度2錠を内服します。
レボノルゲストレル
性交後72時間以内に1錠を服用します。
その他の方法
性交後72時間を経過した場合は、銅付加子宮内避妊具の使用などの方法をとることもあるため、医師への相談が必要です。
緊急避妊ピルの効果と失敗率
緊急避妊ピルは絶対的な避妊法ではありませんが、かなりの避妊効果が期待できます。文献によると、この方法により妊娠の危険性が平均75％（55～94％）減少します。つまり、妊娠しやすい時期に無防備な性交をした100人のうち、通常は8人が妊娠するところ、緊急避妊ピルを使用すると2人に減少するということです。言い換えれば、この方法の失敗率は2％ということになります。
また、性交後できるだけ早く内服を開始するほど効果が高くなります。12時間以内に開始した場合の失敗率は0.5％ですが、72時間後では4％まで上昇します。プラノバールの場合、2回目の内服を忘れると避妊効果が低下するため、注意が必要です。
緊急避妊ピルの使用制限と作用機序
普通のピルと異なり、緊急避妊ピルは一時的な使用であるため、明らかに妊娠している人以外は使用可能です。
緊急避妊ピルの正確な作用機序は不明ですが、受精卵が卵管を通って子宮内膜に到達するまでの6～7日の間に、子宮内膜を変化させて着床を阻害したり、排卵を遅らせたり、卵管の動きを抑制したりすることで妊娠を予防すると考えられています。この薬は中絶薬ではなく、妊娠を予防するためのものです。受精後1週間以上経過し、既に妊娠が成立している場合には効果がありません。また、妊娠初期に緊急避妊ピルを使用しても、胎児への悪影響はないとされています。
緊急避妊ピル、高い避妊効果が期待できますが、絶対的なものではありません
緊急避妊ピルは、避妊に失敗した際の緊急避難的な方法であり、通常の避妊法として用いるべきではありません。性交後72時間以内に服用することで、高い避妊効果が期待できますが、絶対的なものではないことを理解しておく必要があります。
緊急避妊ピルの処方を希望される方や、使用に関するご相談がある場合は、産婦人科医にご相談ください。専門医が個々の状況に応じて適切な方法をご提案いたします。緊急避妊ピルは、望まない妊娠を防ぐための重要な選択肢の一つですが、事前の避妊対策を怠らないことが何よりも大切です。